【2026年10月から】106万円の壁撤廃・最低賃金・こどもNISA…家計と働き方の「決まったこと/まだ決まっていないこと」

白いレンガの壁の前で、手を合わせて屋根の形をつくる父親と母親と、その下で見上げる2人の子ども

2026年10月1日から、家計と働き方に関わる制度がいくつも同時に変わりました。「106万円の壁」の撤廃、最低賃金の改定、こどもNISAの口座開設受付、住宅ローン金利の引き上げ……。ニュースで一つずつ聞くと、どれが自分の家に関係するのか分かりにくくなります。

この記事では、厚生労働省や東京都の発表、新聞各紙の報道をもとに、「もう決まったこと」と「まだ決まっていないこと」を分けて整理しました。損か得かを決めつけるのではなく、夫婦で話すときの「確認リスト」として使ってください。

もくじ

  1. 10月に「決まったこと」一覧
  2. 働き方とお金——106万円の壁・最低賃金・同一労働同一賃金
  3. 毎日の出費——食品・住宅ローン・薬
  4. 子どもの将来のお金——こどもNISA・奨学金・不妊治療の助成
  5. 「まだ決まっていないこと」一覧
  6. メリットとデメリット——制度の「別の見方」
  7. わが家で今週できる5つのこと

1. 10月に「決まったこと」一覧

まず全体像です。それぞれの中身は2〜4章で説明します。

テーマ決まったこといつから
106万円の壁パートなどの社会保険加入の賃金要件(月額8.8万円=年額換算で約106万円)を撤廃2026年10月
国民年金の育児期間免除自営業・フリーランスなど国民年金第1号被保険者は、1歳未満の子を養育する期間の保険料が免除に2026年10月
最低賃金都道府県ごとに順次引き上げ(全国加重平均1,177円・東京は時給1,280円)10月1日以降順次
同一労働同一賃金ガイドライン改正版を施行(家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇などの項目を追加)10月1日
食品の値上げ10月は3,153品目で、今年2番目の多さ(民間調査会社のまとめ)10月
住宅ローン金利大手5行の変動型の基準金利がいずれも年3.375%に新規は10月・既存は来年1月ごろ
OTC類似薬市販薬と似た薬を処方された患者に追加負担を求める仕組みを実施(厚労省が通知)2027年3月1日
こどもNISA0〜17歳が対象の口座開設受付が順次スタート受付10月1日〜・制度は2027年1月
奨学金(貸与型)の利率日本学生支援機構の貸与利率一覧が更新(9月貸与終了者・増額部分の固定方式は3.322%)10月1日更新
東京都の不妊治療費助成先進医療の費用を最大15万円助成する事業の申請受付を開始(都内在住の夫婦が対象)10月1日
厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)」、厚生労働大臣会見(10月2日)、東京都発表、NHK・読売新聞・朝日新聞・日本経済新聞・Yahoo!ニュース エキスパートの報道より作成。

2. 働き方とお金——106万円の壁・最低賃金・同一労働同一賃金

「106万円の壁」はなくなったが、「週20時間」の線は残る

パートやアルバイトで働く人が厚生年金・健康保険に入る条件のうち、月額8.8万円(年額換算で約106万円)という賃金の要件が10月に撤廃されました。厚生労働省は、最低賃金が1,016円以上の地域では週20時間働けば賃金要件を満たすこと、全国の最低賃金が1,016円以上になったことを撤廃の理由に挙げています。

朝日新聞(10月4日)によると、これまでの主な条件は「従業員51人以上」「週20時間以上」「月収8万8千円以上」でした。なくなったのは賃金の条件で、「加入の条件がすべてなくなった」わけではありません。週20時間以上という労働時間の条件は残ります。

加入すると毎月の手取りは減りますが、将来の年金が増えるなどの面もあります。厚労省の一覧には、新たに適用対象となった事業所で働く短時間労働者の保険料負担を軽減できる制度を設けることも書かれています。パートで働くのが夫婦のどちらであっても関わる話なので、勤務先からの案内を一緒に確認しておくと安心です。

フリーランス・自営業のパパにも:国民年金の「育児期間免除」

同じ厚労省の一覧には、国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランスなど)が1歳未満の子を養育している期間の保険料を免除する「育児期間免除制度」も載っています。免除された期間も保険料を納めたものとして扱われ、将来の年金額に反映されます。対象者欄には「1歳未満の子と同一住所である実父母、養父母」とあり、母親だけでなく父親も対象になり得ます。手続きは日本年金機構などの案内で確認してください。

最低賃金は「一斉」ではなく「順次」

最低賃金は10月1日以降、都道府県ごとに順次改定されます。厚労省によると全ての都道府県で時間額54円から65円の引き上げで、全国加重平均は1,177円。NHKによると、全国最高の東京は時給1,280円になりました。発効日は都道府県によって違うので、お住まいの地域の日付は厚労省の改定状況の一覧で確認できます。

同一労働同一賃金のガイドラインが改正

正社員と非正規の待遇差についてのガイドラインが改正され、10月1日から施行されています。10月2日の厚生労働大臣会見では、家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇などの項目が追加されたことが話題になりました。具体的にどの手当がどう扱われるかは、ガイドライン本文や勤務先の説明で確認が必要です。「非正規にも必ず家族手当が出る」という意味ではない点に注意してください。

3. 毎日の出費——食品・住宅ローン・薬

  • 食品の値上げ:NHK(9月30日)によると、10月に値上げされる食品は3,153品目で、今年2番目の多さです(民間調査会社のまとめ)。値上げ品目が2か月続けて3,000品目を超えるのは2023年以来とされています。
  • 住宅ローン:読売新聞(10月1日)によると、大手5行の変動型の基準金利がいずれも年3.375%になりました。新規契約は10月から、既存契約は来年1月ごろから適用されます。変動型で借りている家庭は、銀行からの通知を確認しておきましょう。
  • OTC類似薬:市販薬と似た成分や効能を持つ薬を処方された患者に追加負担を求める仕組みについて、厚労省は2027年3月1日から実施すると関係機関に通知しました(NHK・9月30日)。NHKは18歳の年度末までの子どもなどが対象外になると伝えていますが、対象外となる条件の詳細は厚労省の通知で確認してください。

4. 子どもの将来のお金——こどもNISA・奨学金・不妊治療の助成

こどもNISA:始める前に知っておきたい「制限」

0〜17歳を対象にした「こどもNISA」が2027年1月に始まるのに先立ち、10月1日から口座開設の受付が順次始まりました。朝日新聞(9月30日)によると、つみたて投資枠と同じ仕組みで、投資の上限は月5万円・年60万円です。

日本経済新聞(10月3日)は注意点として、金融機関の変更ができないこと、資金を原則12歳まで引き出せないことを挙げています。また、松井証券が0〜17歳の子を持つ親1,200人に行った調査(読売新聞・10月3日)では、想定する積立額は「2万円未満」が79.3%で、満額の月5万円は5.4%でした。証券会社自身の調査である点は差し引いて読んでください。この記事は特定の商品や投資を勧めるものではありません。

奨学金(貸与型)の利率

日本学生支援機構の貸与利率一覧が10月1日に更新されました。Yahoo!ニュース エキスパート(石渡嶺司氏・10月2日)によると、9月に貸与が終わった人の利率は、基本月額の固定方式で3.000%、見直し方式で2.400%、増額部分の固定方式で3.322%です。基本月額の利率には上限3%があり、増額部分とは扱いが違います。上の子の進学がまだ先でも、「借りる場合は利息がかかる」ことを前提に教育費を考えておくと役立ちます。

東京都の不妊治療費助成(都内在住の方)

東京都は、保険診療の生殖補助医療と、それと併用して実施した先進医療の費用を最大15万円助成する事業の申請受付を10月1日に始めました。治療開始日の妻の年齢が43歳未満であること、夫婦のいずれかが継続して都内に住民登録していること(事実婚を含む)などが条件です。「1回の治療」単位の要件もあるので、詳しくは東京都福祉局のホームページで確認してください。都外の方は、お住まいの自治体の制度を調べてみてください。

5. 「まだ決まっていないこと」一覧

ここからは、ニュースで見かけてもまだ確定していない話です。「もらえる」「変わる」と決めつけず、段階を確認しておきましょう。

テーマいまの段階まだ決まっていない点いつ決まりそうか
食料品の消費税減税と新しい給付(就業者負担軽減支援金)関連法案を自民党の合同会議が了承(10月2日)。食料品の税率を2027年4月から2年間1%に下げる内容給付の対象者と金額。法案では「所得や19歳未満の子どもの数などを踏まえて政令で定める」臨時国会での成立を目指すとされる。金額は成立後の政令で
新しい給付の財源経済同友会が金融所得課税の活用を提言(10月2日)政府の方針ではない。提言内の「20万円」は試算上の想定で、給付額ではない未定
年金の「第3号被保険者」の見直し厚労省の有識者検討会で議論が始まった段階見直すかどうか、見直す場合の中身検討会が対象者などの働き方・収入を調査中
OTC類似薬の対象外の範囲実施日(2027年3月1日)は通知済み子どもなどが対象外となる条件の詳細厚労省の通知・医療機関の案内で確認
読売新聞(10月2日)、日本経済新聞(10月2日)、財界オンライン(マイナビニュース配信・9月29日)、NHK(9月30日)の報道より作成。

6. メリットとデメリット——制度の「別の見方」

制度の変更は「家計の助けになる」と紹介されることが多いですが、専門家からは別の見方も出ています。どれが正しいと決めるためではなく、自分の家にとってどうかを考える材料として並べます。なお、いずれも今回の出来事に直接反応した論評ではないものを含むため、日付を添えています。

  • 106万円の壁が消えても「時間の壁」は残る:野村総合研究所の木内登英氏は、賃金要件を撤廃しても週20時間以上の要件が残るため、労働時間を増やさない調整は続くと指摘しています(2024年12月のコラム)。
  • 新しい給付は「執行の仕組み」が課題:第一ライフ資産運用経済研究所の星野卓也氏は、所得に応じた給付を行うには、国と地方の役割分担などの執行体制づくりが課題だとしています(2026年5月)。
  • 食料品の減税は高所得層ほど恩恵が大きいという試算:nippon.comは大和総研の試算として、食料品の消費税をゼロにすると年収上位2割の世帯が下位2割の倍の恩恵を受けると紹介しています(2026年2月)。ただしこれは税率ゼロの案の試算で、今回の1%の法案とは前提が違います。
  • こどもNISAは余裕のある世帯ほど使える:木内登英氏は、資金に余裕のある世帯ほど子どもの口座で投資を増やせるため資産格差を固定しうると指摘する一方、上限を年60万円にした点などで一定程度対応しているとも評価しています(2025年12月)。なお、野村総合研究所の属するグループには証券会社があります。
  • 奨学金の利率上昇は制度の問題:奨学金問題対策全国会議 共同代表の大内裕和氏は、有利子奨学金の利率(固定方式)が2022年3月の0.369%から2026年3月の2.423%に上がったとして、返済負担の増加は少子化対策と矛盾すると論じています(2026年6月)。

まとめると、同じ制度でも、所得や家計の余裕、働き方によって効き方が大きく違います。「ニュースで得と言われたから」ではなく、わが家の数字で考えることが大切です。

7. わが家で今週できる5つのこと

  1. 勤務先の案内を確認する:パートで働く家族がいれば、社会保険の加入について勤務先から案内が来ていないか見ておく(週20時間以上かどうかが一つの目安)。
  2. フリーランスなら年金の免除を調べる:国民年金に加入していて1歳未満の子がいるなら、育児期間免除の手続きを確認する。
  3. 住宅ローンの通知を待つ:変動型で借りているなら、来年1月ごろからの金利について銀行の通知を確認し、毎月の返済額を家計簿に反映する。
  4. 教育費の準備方法を話す:こどもNISAを使うかどうかは急がず、「引き出せない期間」「借りる場合の利息」を含めて夫婦で話す。
  5. 「まだ決まっていないこと」は待つ:給付や減税は、成立と金額の発表を待ってから家計の計画に入れる。

まとめ

10月の制度変更は数が多く、ひとまとめに「家計が苦しくなる」「得をする」と語られがちです。でも実際には、働き方・住まい・子どもの年齢によって、関係する項目は家ごとに違います。

まずは1章の表を見ながら、「うちに関係あるのはどれ?」と今夜、家族で話してみてください。分担を決めて一人がひとつずつ調べるだけでも、ずいぶん見通しがよくなります。

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本記事は2026年10月5日時点で公表されている資料・報道に基づいて作成しています。制度の詳細や適用条件は個々の状況によって異なります。手続きや判断の際は、各制度の公式情報や勤務先・金融機関・専門家にご確認ください。本記事は特定の金融商品や投資を勧めるものではありません。

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この記事を書いた人

となりー